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【ムラの正体】ペンキの塗り方|プロの刷毛づかい4つの動き

ムラの正体は塗膜の厚さの差であることを示したアイキャッチ画像 道具と塗料の選び方

同じ塗料、同じ刷毛を使っているのに、乾いたら色の濃いところと薄いところができている。光を当てると筋が見える。塗り始めた場所と最後に塗った場所で、仕上がりが違う。

ムラは、運や才能で決まるものではありません。原因はいつも同じ3つで、防ぎ方も決まっています。プロが現場でやっているのは、特別な技ではなく4つの動きを順番どおりに繰り返すことだけです。

こんなお悩みはありませんか
  • 乾いたら色がまだらになる
  • 光の角度で筋が見える
  • 塗り始めと終わりで色が違う
  • 塗料が垂れて跡が残る
  • 何回塗ればいいか分からない
困っているDIY初心者の女性キャラクター
DIY初心者

ていねいに塗ったつもりなのに、乾いたらムラだらけで。

塗装職人の男性キャラクター
塗装職人

ていねいさの問題ではありません。手の動かし方に順番があるんです。

私は工場で機械部品の塗装をして10年になります。刷毛で手塗りする毎日で、ムラが出れば塗り直しです。この記事では、塗装がムラになる3つの原因をお伝えしたうえで、現場で使っている刷毛の4つの動きを紹介します。道具を買い替える必要はありません。手の動かし方だけで変わります。

塗装がムラになる3つの原因

塗装のムラが塗膜の厚さの差であることを示すバナー

先に原因をはっきりさせます。ムラとは、色が変わっているのではありません。塗膜の厚さが場所によって違うことで、色が濃く見えたり薄く見えたりしている状態です。ここが分かると、直し方も見えてきます。原因を3つに分けてお伝えします。

同じ塗料でも塗膜の厚さがそろわないと濃淡ができることを横からと上から比べた図
同じ塗料です。厚さがそろっていないだけで、色が違って見えます

塗料を含ませる量がばらついている

1つ目です。刷毛に塗料をたっぷり付けたところは厚く、少なくなってきたところは薄くなります。1回ごとに含ませる量が違えば、塗膜の厚さもその回数だけ変わります。

とくに多いのが、塗料の缶から出した刷毛を、余分を落とさずにそのまま面に当てることです。毛の根元まで塗料を吸っていると、最初のひと塗りだけ極端に厚くなります。その1か所が、乾いたあとに濃いシミとして残ります。

乾いた端に塗り重ねている

2つ目は、塗り継ぎで起きる原因です。塗料は塗ったそばから乾き始めます。先に塗った場所が乾いてから隣を塗ると、その境目だけ塗膜が二重になります。

この境目は、乾いてから線として浮き上がります。広い面を塗ったときに縞のような跡が出るのは、これが原因です。夏の直射日光の下や、風の強い日はとくに起こりやすくなります。

刷毛の跡をならさずに終えている

3つ目です。刷毛で塗った直後の面には、必ず毛の筋が残っています。塗料の種類によっては自然に平らになりますが、多くはそのまま固まります。

この筋を消す動作を省いている人がほとんどです。最後のひと手間を入れるかどうかで、仕上がりがいちばん変わります。次の章で、その動きをお伝えします。

ムラにならない刷毛の4つの動き

ムラにならない刷毛の4つの動きを示すバナー

この記事でいちばんお伝えしたい章です。プロの刷毛塗りは、4つの動きの繰り返しでできています。現場ではそれぞれに名前が付いていて、含み、配り、ならし、はけ目通しと呼びます。名前を覚える必要はありません。順番どおりに手を動かせば、それだけで仕上がりが変わります。

刷毛の4つの動きを含み 配り ならし はけ目通しの順に並べた図
この順番で手を動かします。最後のひと撫でがいちばん効きます

動き1 毛先に塗料を含ませる

現場で「含み」と呼ぶ動作です。刷毛を缶に入れる深さは、細かい場所なら毛先から3分の1ほど、広い面ならもう少し深くします。いずれにしても根元まで浸けてはいけません。

入れたら、缶のふちに両面を軽く押し当てて余分を落とします。毎回、同じ深さと同じ回数で。ここをそろえるだけで、1つ目の原因が消えます。

刷毛の持ち方は、鉛筆を持つように軽く。握り込むと手首が固まり、力が均一に入りません。刷毛の選び方は初心者向け刷毛の選び方と失敗しない5つの基準で解説しています。

動き2 面に塗料を置いていく

現場で「配り」と呼ぶ動作です。ここではまだ仕上げようとしません。塗る範囲に、塗料を点々と置いていくだけです。

いきなり伸ばそうとすると、刷毛に付いた塗料が先に減って、後半が薄くなります。先に置いておけば、次の動きで全体をならせます。置く、伸ばす。この2段階に分けるのが要点です。

動き3 厚さをそろえる

現場で「ならし」と呼ぶ動作です。置いた塗料を、刷毛で広げて厚さを均一にします。ここで塗膜の厚さが決まります。

ならすときの手の使い方
  • 刷毛は立てて使う → 寝かせると塗料が伸びない
  • 力は毛先だけにかける → 押し付けると筋が深くなる
  • 往復させてよいのはこの段階だけ → 縦横に動かして広げる
  • 塗り足さない → 足りなければ次の1回で足す

この段階では、まだ刷毛の筋が残っています。それで構いません。筋を消すのは次の動きです。

動き4 刷毛の跡を消す

現場で「はけ目通し」と呼ぶ動作です。ここを省いている人が、いちばん多いところです。

塗料をほとんど含んでいない刷毛で、面の端から端まで一方向に、軽くひと撫でするだけです。力はほぼ入れません。毛先が触れている程度で通します。

大事なのは、塗料が乾き始める前に済ませることと、途中で止めないことです。止めた場所に段差ができます。この3秒の動作で、筋がすっと消えます。

ペンキを塗る順番と塗り継ぎ

ペンキを塗る順番と塗り継ぎを示すバナー

手の動かし方が分かっても、塗る順番を間違えると同じところでつまずきます。とくに広い面では、どこから塗るかで仕上がりが変わります。塗り継ぎの考え方まで含めて、3つに分けてお伝えします。

細かい場所から先に塗る

角、へこみ、ねじの頭、枠のふち。細い刷毛でしか届かない場所を先に済ませます。そのあと、広い面を塗ります。

逆にすると、あとから細部を塗るときに、乾きかけた広い面に刷毛が当たります。せっかくならした面に、新しい筋を付けることになります。

上から下へ塗る

縦の面は、必ず上から始めます。塗料は下に流れるので、下から塗ると、上を塗っているあいだに流れた塗料が乾いた面に乗ります。

上から塗っていれば、流れた塗料はこれから塗る場所に落ちます。流れを追いかけるのではなく、流れの先を塗っていくと考えてください。

濡れているうちに隣へ続ける

2つ目の原因だった塗り継ぎの対策です。先に塗った端が乾く前に、隣を塗り始めます。現場では、この濡れている端を切らさないことを大事にします。

濡れた端に重ねた場合と乾いた端に重ねた場合で境目の出方を比べた図
先に塗った端が乾く前に隣を塗れば、境目は出ません
塗り方端の状態仕上がり
○ 区切って続けて塗る濡れている境目が消える
× 離れた場所から塗る乾いている境目が線で残る
× 休憩をはさむ乾いている境目が線で残る
○の行だけが、境目の出ない塗り方です

広い面は、一気に全部ではなく、手が届く範囲で区切って進めます。1区画を塗り終えたら、その濡れた端に重ねて次の区画へ。これを繰り返せば、境目は出ません。

ペンキが垂れない3つの決まり

ペンキが垂れない3つの決まりを示すバナー

ムラと並んで多いのが、塗料が垂れて跡になる失敗です。垂れは乾いてから気づくことが多く、直すには削るしかありません。原因ははっきりしているので、3つの決まりを守れば防げます。なお、床や服に垂らしてしまったときの落とし方はペンキの落とし方と乾く前にすることで解説しています。

1回で厚く塗った塗膜と2回に分けた塗膜で垂れ方を比べた図
同じ厚さに仕上げても、2回に分ければ1回ぶんが薄いので垂れません

決まり1 塗料を含ませる量は場所で変える

垂れのほとんどは、含ませすぎが原因です。毛の根元まで吸った刷毛は、面に当てた瞬間に塗料を出しすぎます。

細かい場所や縦の面では毛先から3分の1ほど、広い面ではもう少し深く浸けます。どちらの場合も、缶のふちで余分を落とすのは同じです。落としすぎたと感じるくらいがちょうどよい量で、足りなければもう一度含ませればよいだけです。なお、メーカーは目安として毛先から3分の2ほどを案内しています。

決まり2 刷毛は立てて持つ

刷毛を寝かせると、毛の腹から塗料が押し出されて、一度に多く出てしまいます。しかも塗料が伸びません。

面に対して立てぎみに当て、毛先だけを使う。これで出る量が一定になり、伸びもよくなります。手首ではなく、腕全体を動かすと角度が安定します。

決まり3 1回で仕上げようとしない

下の色を1回で隠そうとすると、どうしても厚く塗ることになります。厚く塗った塗膜は、自分の重さで下へ流れます。

1回目は下が透けていて構いません。乾かしてから2回目を塗れば、色は決まります。垂れないだけでなく、内部までしっかり固まります。塗り重ねる間隔は、缶の表示に従ってください。

ペンキの塗り方のよくある質問

ペンキの塗り方のよくある質問に答えるバナー

塗っている最中によく出てくる疑問をまとめました。どれも手が止まりやすい場面です。

鉄と木で塗り方は違うか

刷毛の4つの動きは同じです。違うのは塗る前の準備のほうです。

塗る相手塗る前にすること刷毛の動き
鉄サビを落としてサビ止めを塗る同じ
アルミ メッキ 化粧板足付けして密着プライマーを塗る同じ
木木は塗料を吸うので回数が増える同じ
下地の作り方は素材で変わりますが、手の動かし方は変わりません

鉄の下塗りはサビ止め塗料の選び方と初心者が迷う4つの分かれ道で、下地処理の道具は塗装の下地処理の7つ道具とむだのない予算で解説しています。

何回塗ればよいか

上塗りは2回が基本です。1回では下が透け、3回にすると厚くなりすぎます。

ただし、濃い色の上に薄い色を塗る場合は3回になることがあります。2回目を塗って乾かし、それでも透けているようなら3回目に進んでください。回数ではなく、透けているかどうかで判断します。

塗っている途中で休んでよいか

面の途中では休まないでください。止めたところが乾いて、再開したときに境目が残ります。

休むなら、1つの面を塗り終えてからです。扉なら扉、側面なら側面。区切りのよいところまで進めてから手を止めてください。

ローラーと刷毛はどう使い分けるか

広い平らな面はローラー、角と細部は刷毛です。先に刷毛で細部を済ませてから、ローラーで面を塗ると境目がなじみます。

刷毛で何往復もしないと塗り終わらない広さなら、ローラーを用意したほうが早く塗れます。物置のような大きなものの塗り方は物置塗装DIYの8つの手順と電動工具の出番で解説しています。 ローラーの選び方と転がし方は、【職人が教える】ペンキのローラーの使い方|6つの手順とムラ対策で説明しています。

気温や天気はどのくらい影響するか

大きく影響します。乾きが速すぎても遅すぎてもムラになります。

  • 直射日光が当たる面 → 乾きが速く、塗り継ぎの境目が出る
  • 湿度が高い日 → 乾きが遅く、垂れやすい
  • 風が強い日 → 表面だけ先に乾き、ほこりも付く
  • 気温が低い日 → 缶の表示にある使用できる温度を確かめる

屋外なら、日が当たっていない面から塗るのが基本です。午前中に東側、午後に西側、という順番でも避けられます。

ムラになってしまったら直せるか

直せます。乾かしてから、目の細かいサンドペーパーで表面をならし、もう1回薄く塗ってください。

ただし乾く前なら、刷毛だけで直せます。 乾き具合ごとの直し方は塗装のムラと垂れは直せるにまとめています。

乾いていないうちに塗り足すと、下の柔らかい塗膜を刷毛で引きずって、かえってひどくなります。いったん乾かしてから直す。これが最短の道です。

塗り終わった刷毛はどうするか

水性ならぬるま湯と中性洗剤、油性ならうすめ液で洗います。根元に塗料が残ると、次に使うとき毛が開きます。洗ったあとの水を流してよいかはペンキの捨て方と水性と油性の分かれ道で解説しています。

洗ったあとは毛先を下にせず、吊るすか寝かせて乾かしてください。手入れのしかたは初心者向け刷毛の選び方と失敗しない5つの基準にまとめています。

まとめ

ペンキの塗り方のポイントを振り返るバナー

ムラは、塗膜の厚さがそろっていないだけです。色が変わっているわけではありません。だから、含ませる量をそろえ、濡れているうちに続け、最後に刷毛の跡を通す。この3つで消えます。

道具を買い替える必要はありません。手の動かし方に順番を入れるだけです。とくに最後の「跡を消す」ひと撫では3秒で終わり、いちばん効きます。

この記事のポイント
  • ムラは色ではなく厚さの差
  • 含ませる量は場所で変える。細かい所ほど浅く
  • 置いてから伸ばす、の2段階にする
  • 刷毛は立てて毛先だけを使う
  • 最後に一方向へひと撫でする
  • 細部を先に、広い面をあとに塗る
  • 濡れた端を切らさずに隣へ続ける
  • 1回で仕上げず2回に分ける
納得して笑顔のDIY初心者の女性キャラクター
DIY初心者

置いてから伸ばして、最後にひと撫で。これだけでいいんですね。

塗装職人の男性キャラクター
塗装職人

それだけです。次に塗るときに試してみてください。仕上がりが変わりますよ。

塗る前の準備は塗装の下地処理の7つ道具とむだのない予算を、刷毛選びは初心者向け刷毛の選び方と失敗しない5つの基準を、実際にドアを塗る手順は玄関ドア塗装のかんたんDIY手順とムラ防止のコツ3選を、塗らない場所の守り方は塗装の養生で仕上がりが決まるをあわせてご覧ください。

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