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【乾く前が勝負】ペンキの落とし方|水性と油性で変わる

乾く前と乾いたあとでペンキの落ちやすさが変わることを示したアイキャッチ画像 道具と塗料の選び方

塗っている最中に、袖口にペンキが付いた。床に一滴落ちた。手は気づいたら真っ白。慌てて拭こうとして、かえって広げてしまう。塗装を始めた人がほぼ全員通る場面です。

落ちるかどうかは、気づいた時間と、使っている塗料の種類でほぼ決まります。乾く前なら、ほとんどのものは落ちます。 逆に乾いてしまうと、手間が何倍にもなります。

こんなお悩みはありませんか
  • 服に付いたペンキを落としたい
  • 手に付いたペンキが石けんで落ちない
  • 床に垂らしてしまった
  • 乾いてしまったものが落ちるか知りたい
  • うすめ液を使ってよいのか分からない
困っているDIY初心者の女性キャラクター
DIY初心者

袖にペンキが付いてしまって。洗剤でこすっても落ちないんです。

塗装職人の男性キャラクター
塗装職人

乾いてからでしたか。時間が経つほど手間が増えます。落とし方をお伝えしますね。

私は工場で機械部品の塗装をして10年になります。毎日塗っていれば、毎日どこかに付きます。この記事では、落とし方が決まる2つの条件をお伝えしたうえで、服と手と床それぞれの落とし方を解説します。あわせて、メーカーが「きれいには落ちない」と書いていることも正直にお伝えします。

ペンキが落ちるかは時間と種類で決まる

ペンキが落ちるかは時間と種類で決まることを示すバナー

方法を探す前に、自分がどの場合に当てはまるかを決めてください。見るのは気づいた時間と塗料の種類の2つだけです。

乾く前か乾いたあとか 水性か油性かで落とし方が4通りに分かれる表
緑の2つなら、その場で片づきます

乾く前かどうかで変わる

1つ目は時間です。塗料は乾くと、中の樹脂が固まって膜になります。 膜になる前と後では、まったく別のものだと思ってください。

乾く早さは、塗料の種類だけでなく、気温と湿度、塗った厚さでも変わります。夏と冬では倍以上違うこともあるので、缶の「乾燥時間」の欄を見てください。気づいたその場ですぐ動けるかどうかが、いちばん大きな分かれ目になります。

水性か油性かで変わる

2つ目は塗料の種類です。水性は水で、油性はうすめ液で薄める塗料です。落とすときも、同じものを使います。

自分が使っているのがどちらか分からない場合は、缶のうすめ方の欄を見てください。見分け方は水性ペンキと油性ペンキの違いと初心者の選び方で解説しています。

時間と種類で4通りに分かれる

時間と種類を組み合わせると、進む道は4つになります。

状態塗料使うもの落ちやすさ
乾く前水性水◎ ほとんど落ちる
乾く前油性ペイントうすめ液○ だいたい落ちる
乾いたあと水性お湯でふやかす△ 手間がかかる
乾いたあと油性溶剤でふやかす△ 生地を傷めることがある
緑の2行なら、その場で片づきます。灰色の2行は覚悟が要ります

この表で分かるとおり、いちばん効くのは早さです。 道具を探している間にも乾いていきます。

乾く前ならペンキはほとんど落ちる

乾く前ならペンキがほとんど落ちることを示すバナー

塗料が付いたことに、その場で気づいた場合です。使うものは水性と油性で違いますが、布に含ませて拭き取るという流れはどちらも同じです。

ただし、畳や木のように染み込む相手は、早く拭いても跡が残ることがあります。落ちやすいのは、布や金属やガラスのように表面で止まる相手です。

水性は水で拭く

布を水かぬるま湯で湿らせて、拭き取ります。中性洗剤を少し足すとよく落ちます。

この段階なら、特別なものは何も要りません。 塗る前に、水を入れたバケツと布を手の届くところに置いておくと、その場で対応できます。

油性はペイントうすめ液で拭く

油性は水では落ちません。ペイントうすめ液を布に含ませて拭き取ります。

うすめ液は缶に書かれたものを使う
  • 油性塗料 → ペイントうすめ液
  • ラッカーと書かれた塗料 → ラッカーうすめ液

カンペハピオは、ラッカーうすめ液のほうが溶かす力が強いと説明しています。そのうえで、油性塗料にはペイントうすめ液、ラッカー系にはラッカーうすめ液と、使い分けるように案内しています。

強いほうが早く落ちそうに思えますが、拭き取るときは逆です。落としたい塗料だけでなく、その下にある塗装や生地まで溶かします。 缶のうすめ方の欄に書かれている液を使ってください。

裏に布を当てて表からたたく

布に付いた場合のやり方です。これは水性でも油性でも同じで、違うのは布に含ませる液だけです。水性なら水、油性ならペイントうすめ液を使います。

大事なのは動かし方です。こすると繊維の奥に広がります。 裏側にいらない布を当てて、表からたたいてください。

たたくと、塗料は下に当てた布へ移っていきます。移ったら布の位置をずらして、きれいな面で受けます。最後に洗剤で水洗いをして仕上げます。

乾いたあとのペンキは落ちにくい

乾いたあとのペンキが落ちにくいことを示すバナー

ここからは手間が増えます。できることはありますが、元どおりにはならない前提で進めてください。

乾いた水性は水では落ちない

ここを誤解している方が多いところです。水性は水で薄める塗料ですが、乾いたあとは水では落ちません。

カンペハピオは、水性塗料について乾燥すると雨や水で流れ落ちることはないと説明しています。絵の具と違い、耐久性のある樹脂が入っているためです。屋外で使えるのも、この性質のおかげです。

水性はお湯でふやかす

固まった塗料をやわらかくしてから取ります。カンペハピオも、乾いた水性塗料は熱い湯に浸すと塗膜が柔らかくなると案内しています。

ただし、お湯を使う前に衣類の洗濯表示を見てください。 ウールやシルクなど熱に弱いものは縮みます。

やわらかくなったら、もむ、爪先で削る、歯ブラシでこするのいずれかで落とします。そのあと洗剤で水洗いをします。一度で落ちなければ、同じことを繰り返してください。

油性は溶剤でふやかす

油性はお湯ではやわらかくなりません。カンペハピオは、乾いた油性にはラッカーうすめ液に浸す方法を案内しています。ただし生地を傷める危険があります。

ここはメーカーと販売店で案内が分かれています。次の章でくわしくお伝えします。

服についたペンキは無理に落とさない

服についたペンキを無理に落とさないことを示すバナー

この記事でいちばんお伝えしたい章です。服については、落とす方法より先に知っておくべきことがあります。

メーカーの案内は分かれている

塗料メーカーのカンペハピオは、衣服に付いた塗料について2か所で案内を出しています。どちらも書き出しは同じです。

簡単に、きれいに落とす方法はありません。衣服に付かないよう注意すること。また、塗料がついてもよい服装で塗装することが大切です。

カンペハピオ「安全・衛生 Q&A」

そのうえで、乾いた油性への案内が2か所で違います。

どこに書かれているか乾いた油性への案内
安全・衛生のQ&Aラッカーうすめ液に浸し、柔らかくしてからこすり落とす
よくある質問シンナー類は生地を傷めるので、中性洗剤を溶かした熱め湯で揉み洗い
落とす力を取るか、生地を守るかで案内が分かれています

私の考えは、残したい服なら溶剤を使わないです。溶剤で塗料が取れても、その部分だけ色が抜けたり、生地が硬くなったりします。落ちないときは、無理をせずクリーニング店に相談してください。

中性洗剤と熱め湯で揉み洗いする

メーカーが勧めているのはこの方法です。カンペハピオの案内は、水性か油性かを分けていません。 服については、どちらもこのやり方になります。

洗面器に熱めのお湯を張り、中性洗剤を溶かします。

付いた部分を浸して、しばらく置いてから揉みます。一度で落ちきらなくても、何度か繰り返すと薄くなります。 熱いお湯を扱うので、やけどに気をつけてください。

落ちない前提で服を選ぶ

メーカーが「きれいに落とす事は難しい」と書いている以上、落とす技術より、付かない備えのほうが確実です。

塗る前にしておくこと
  • 汚れてよい服に着替える → いちばん確実
  • 袖口が締まるものを選ぶ → 引っかけて付くのを防ぐ
  • 水を入れたバケツと布を近くに置く → その場で拭ける
  • 床にシートを敷く → 垂れても拭き取りが要らない
  • 手袋をする → 手に付かない

ここまでしておけば、落とし方を調べる場面がそもそも来ません。準備に5分、落とすのに1時間と考えてください。

服以外についたペンキの落とし方

服以外についたペンキの落とし方を示すバナー

服のほかに付きやすいのが、手と床と畳とガラスです。相手によって扱いが変わります。

手と床と畳とガラスで ペンキへの対処がどう変わるかを並べた図
緑はやってよいこと、赤は気をつけることです

手についたペンキ

カンペハピオは、肌に付いた塗料について水性は水やぬるま湯で擦り洗い、油性は石けんや台所用中性洗剤で洗うと案内しています。

肌にうすめ液を使わないでください。 塗料は落ちますが、皮膚の脂も一緒に奪われて荒れます。落ちにくいときは、ハンドクリームか食用油をなじませてから石けんで洗うと取れやすくなります。

少量なら、残った分は数日で自然に取れていきます。 皮膚は入れ替わるので、深追いする必要はありません。赤みやかゆみが出たときは、洗い流して様子を見て、治まらなければ医師に相談してください。

床についたペンキ

乾く前なら、水性は水拭き、油性はうすめ液を含ませた布で拭き取れます。量が多いときは先にヘラで余分をすくってから、外側から中心へ向かって拭いてください。

乾いてしまった場合は、床の仕上げを傷めないことを優先します。フローリングにうすめ液を使うと、ワックスや床の塗装まで溶けます。プラスチックのヘラで少しずつ削るほうが安全です。削るときも力を入れると床が傷つくので、目立たない場所で試してから始めてください。

畳についたペンキ

畳はいちばん急ぐ相手です。い草は液体をすぐ吸い込むので、こぼした瞬間から染み込んでいきます。

乾いた布を当てて、こすらずに押さえて吸い取ります。こすると、い草のすき間に入り込みます。動かすときは畳の目に沿ってください。建材メーカーのDAIKENも、畳の染みは目に沿って落とし、最後によく乾かすよう案内しています。

うすめ液は使わないでください。 い草は天然の草なので、溶剤で色が変わります。和紙や樹脂でできた畳もありますが、どの畳でも自分の判断で強い溶剤を使わないでください。 乾いてしまった分は自分で落とすのが難しいので、畳屋さんに相談するか、表替えを考えてください。

ガラスについたペンキ

ふつうのガラスなら、いちばん楽な相手です。水性でも油性でも、乾いていてもスクレーパーで削り落とせます。 ガラスには塗料が食い付かないためです。

ただしすりガラス、網入りガラス、フィルムを貼った窓には使わないでください。 表面を削ってしまいます。使う前に砂ぼこりを払い、目立たない隅から試してください。

刃を寝かせて、ガラス面に沿わせるように動かしてください。立てると傷が付きます。窓を塗るときの養生についてはアルミサッシ塗装の8つの手順と塗ってはいけない5か所で解説しています。

ペンキの落とし方のよくある質問

ペンキの落とし方のよくある質問に答えるバナー

作業中によく出てくる疑問をまとめました。

除光液を使ってもよいか

落ちることはありますが、すすめません。 除光液は塗料用に作られていないので、生地や塗装面を傷めることがあります。

とくにプラスチックや合皮に使うと、表面が溶けて戻りません。試すなら、目立たない場所で先に確かめてください。

洗濯機で洗えば落ちるか

乾く前の水性なら、ある程度落ちます。ただし他の洗濯物に色が移る危険があります。

先に手洗いで落とせるだけ落としてから、単独で洗ってください。乾いたものを洗濯機に入れても、ほとんど変わりません。

髪についたときはどうするか

水性なら、ぬるま湯とシャンプーで洗えば落ちます。油性は、ハンドクリームか食用油をなじませてからシャンプーしてください。

髪にうすめ液を使ってはいけません。頭皮に付くと荒れます。落ちないときは無理にこすらず、美容師に相談してください。帽子かタオルを巻いておけば、そもそも付きません。

時間が経つほど落ちにくくなるか

なります。塗料は表面が乾いたあとも、中では固まり続けます。時間が経つほど硬くなり、落としにくくなります。

気づいた日のうちに落としてください。放っておいて落ちやすくなることはありません。

塗料はがし剤を使ってもよいか

塗料はがし剤は、塗膜を溶かすために作られた強い薬品です。服や肌には使わないでください。

使う場面は、金属や木に付いた古い塗膜を落とすときです。用途は缶に書かれているので、対象が書かれていないものには使わないと考えてください。

拭き取りに使った布はどう捨てるか

水性を拭いた布は、乾かしてから燃えるゴミに出せる自治体が多くあります。油性を拭いた布は、丸めて置くと火が出ることがあります。

水を張った容器に沈めてふたをしてください。くわしい理由と捨て方はペンキの捨て方と水性と油性の分かれ道で解説しています。

まとめ

ペンキの落とし方のポイントを振り返るバナー

ペンキが落ちるかどうかは、腕ではなく気づいた時間で決まります。乾く前なら水かうすめ液で拭くだけ、乾いたあとはふやかして削る作業になります。

そして、メーカー自身が「きれいに落とす事は難しい」と書いています。落とす技術を覚えるより、汚れてよい服に着替えて、水と布を手元に置くほうが確実です。

この記事のポイント
  • 決まるのは時間と種類の2つ
  • 乾く前なら水性は水、油性はうすめ液
  • 乾いた水性は水では落ちない
  • 布はこすらず裏に当ててたたく
  • 服に溶剤を使うと生地が傷む
  • 服は中性洗剤と熱め湯で揉み洗い
  • 肌と髪にうすめ液を使わない
  • 床と畳に溶剤を使わない
  • いちばん確実なのは汚れてよい服
納得して笑顔のDIY初心者の女性キャラクター
DIY初心者

次からは、水を入れたバケツを近くに置いて始めます。

塗装職人の男性キャラクター
塗装職人

それだけで慌てなくなりますよ。汚れてよい服なら、なお安心です。

そもそも垂らさない塗り方はペンキの塗り方とプロの刷毛づかい4つの動きを、床や周りを守る道具は塗装の下地処理の7つ道具とむだのない予算をあわせてご覧ください。

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