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【塗るなら削る】鉄のサビの落とし方|4つの方法を比べた

サビた鉄を削ると傷の付いた面が出て塗料の足場になることを示したアイキャッチ画像 金属・鉄部の塗装

門扉や物置に赤いサビが出てきた。調べてみると「重曹で落とせる」「クエン酸が効く」という記事が並んでいます。家にあるもので済むなら、それがいちばんよさそうに見えます。

ところがそのあと塗るつもりなら、答えが変わります。塗装のためのサビ落としでは、面に傷が付くことは欠点ではありません。むしろ必要です。

こんなお悩みはありませんか
  • 重曹とクエン酸のどちらがよいか分からない
  • 削るのと溶かすのはどちらが正しいのか知りたい
  • どこまで落とせばよいか分からない
  • 落としたあとすぐ塗ってよいのか不安
  • 落としきれないサビをどうすればよいか分からない
困っているDIY初心者の女性キャラクター
DIY初心者

重曹で落とせると書いてあったので試したんですが、なかなか落ちなくて。

塗装職人の男性キャラクター
塗装職人

塗るのが目的なら、削ったほうが早いですよ。傷が付いても構いません。

私は工場で機械部品の塗装をして10年になります。塗る前のサビ落としは毎日の作業です。この記事では、鉄の赤サビを落とす4つの方法を比べたうえで、塗るならどれを選ぶのかをお伝えします。アルミに出る白サビは性質が違うので、アルミサッシ塗装の8つの手順と塗ってはいけない5か所をご覧ください。

鉄のサビの落とし方は4つある

鉄のサビの落とし方が4つあることを示すバナー

方法はいくつもあるように見えますが、大きく分けると4つです。研磨材メーカーのミポックスが、この4つを実際に試して比べています。

ワイヤーブラシ サンドペーパー 不織布 重曹とクエン酸の4つを落とす力と手軽さで比べた表
落とす力と手軽さはミポックスの比較試験によります。いちばん右は塗る場合の評価です

ワイヤーブラシで削る

金属の細い針が束になったブラシで、こすり落とします。落とす力はいちばん強い方法です。ただし鋼線のものは、アルミには使えません。理由はアルミもサビる|白サビと腐食の落とし方で説明しています。

そのかわり、面に細かい傷が付きます。包丁や自転車のように見た目をそのまま残したいものには向きません。ただし塗るなら話が別です。理由は次の章でお伝えします。

サンドペーパーで削る

紙やすりでこすります。落とす力はワイヤーブラシに一歩ゆずりますが、手軽さではいちばんです。買ってすぐ始められます。

目の粗さを選べるのも利点です。粗いもので落として、細かいもので整える。1つの道具で2つの役目をこなせます。道具の選び方は塗装の下地処理の7つ道具とむだのない予算で解説しています。

不織布の研磨材でこする

台所のナイロンたわしに似た、網目の研磨材です。傷が付きにくく、曲がった面にもなじみます。

落とす力は強くないので、これ1つでは頑固なサビに歯が立ちません。ワイヤーブラシで落としたあとの仕上げに使うのが本来の出番です。

重曹やクエン酸で溶かす

家にあるもので落とす方法です。削らないので傷が付きません。台所の道具や小さな金具には向いています。

ただしミポックスの比較では、落とす力は4つの中で下位、手間は4つの中でいちばんかかるという結果でした。ペーストを作り、時間を置き、洗い流して乾かす。この一連が必要になるためです。

方法落とす力面の傷手軽さ塗る前に
ワイヤーブラシ◎付く○○ 向く
サンドペーパー○付く◎○ 向く
不織布の研磨材△付きにくい○○ 仕上げに
重曹やクエン酸△付きにくい×× 向かない
落とす力と手軽さはミポックスの比較試験によります。いちばん右の列は、そのあと塗る場合の評価です

一般の記事は「傷が付かない」ことを長所として書きます。塗る場合は、その評価がひっくり返ります。 なぜそうなるのかを次にお伝えします。

塗るならサビは削って落とす

塗る前は削ってサビを落とすことを示すバナー

この記事でいちばんお伝えしたい章です。塗装業界では、塗る前に面を整える作業を素地調整と呼びます。現場では「ケレン」という言い方もします。

この作業の重みについて、塗料メーカーの大日本塗料がはっきり書いています。

素地調整(ケレン)が塗膜の寿命に及ぼす影響は50%近くにも及ぶのです。

大日本塗料「ケレンとは何か?目的・重要性・効果」

塗料を高いものに替えるより、落とし方を変えるほうが長持ちするということです。理由を3つお伝えします。

塗料が食い付くのは凸凹した面

大日本塗料は、素地調整の目的の1つを「被塗面に凹凸を付けて、塗料の付着をよくする」ことだと説明しています。つるつるの面に塗料は引っかかれません。

削ったときに付く細かい傷は、塗料が引っかかるための足場になります。これを現場では足付けと呼びます。傷を避ける方法を選ぶと、この足場ができません。

つるつるの面に塗って剥がれる話は、アルミサッシやカラーボックスでも同じです。カラーボックス塗装の7つの手順とはじかない下地作りでも、足付けから始めています。

頑固なサビが残るのは重曹とクエン酸

ミポックスの比較で、重曹とクエン酸は頑固なサビには歯が立たないという結果でした。表面の軽いサビは落ちても、深く食い込んだものは残ります。

残ったサビの上に塗ると、塗膜の下でサビが広がり続けます。見た目はきれいでも、1年ほどで塗膜ごと浮いてきます。

手間がかかるのは酸を使う方法

ミポックスの比較で、重曹とクエン酸は手軽さの評価がいちばん低くなっています。準備と後始末に時間がかかるためです。

酸で落とす場合に必要な手順
  1. ペーストを作るか液に浸ける → 容器と場所が要る
  2. 時間を置く → 1時間から一晩
  3. 洗い流す → 酸を残さない
  4. 完全に乾かす → 水が残ると塗る前にまた錆びる

門扉1枚、物置1台となると、この手順を全面でおこなうことになります。削ったほうが早く終わります。

サビの落とし方は進み具合で変わる

サビの進み具合で落とし方が変わることを示すバナー

同じ赤サビでも、進み具合で手のかけ方が変わります。まず自分の目の前にあるサビがどれなのかを見てください。

粉と点と穴という3段階のサビと、それぞれの落とし方を並べた図
自分の目の前のサビがどれかを見てから道具を選びます

粉になって浮いているサビ

指でこすると赤い粉が付く状態です。いちばん軽い段階で、サンドペーパーだけで落ちます。

この段階で落とせば、作業は1時間ほどで終わります。サビは放っておくと落とす手間が増える一方なので、気づいたときがいちばん楽です。

表面に点で出ているサビ

塗膜が破れて、ぽつぽつと赤い点が出ている状態です。点の下は、見えているより広がっています。

ワイヤーブラシで点の周りごと落としてください。塗膜が浮いているところは、指で押すとぶかぶかします。浮いた塗膜は、縁が動かなくなるまで剥がします。

板が薄くなっているサビ

触るとたわむ、押すとへこむ、裏から光が見える。ここまで来ると塗装では直せません。

塗料は膜であって、鉄を作り直すものではありません。この場合は補修か交換を考えてください。判断のしかたはDIY塗装をやめるべき5つの状態と正しい判断基準で解説しています。

鉄のサビを落とす4つの手順

鉄のサビを落とす4つの手順を示すバナー

実際の進め方です。門扉や物置のような、屋外の鉄を想定しています。

かかる時間は、サビの進み具合と面の広さで変わります。粉が浮いている程度なら、門扉1枚で1時間ほど、物置1台で3時間ほどが目安です。点のサビまで進んでいると、この2倍はみておいてください。

手順1 落とす範囲を決める

サビが出ている場所だけでなく、その周りも含めて落とします。見えている範囲の一回り外まで、と考えてください。

塗膜が浮いていないかを指で押して確かめ、浮いている場所は範囲に加えます。ここで範囲を小さく見積もると、あとで境目から剥がれます。

手順2 浮いたサビをワイヤーブラシで落とす

力を入れて往復させます。赤い粉が出なくなるまで続けてください。

粉が舞うので、防じんマスクと保護メガネを着けてください。 目に入ると厄介です。風下に洗濯物や車がないかも見ておきます。

手順3 サンドペーパーで面をそろえる

ワイヤーブラシのあとは、面がでこぼこしています。240番前後のサンドペーパーで、段差をなだらかにします。

ぴかぴかにする必要はありません。つやが消えて、指でなでて段差を感じない程度で十分です。ここで付く細かい傷が、塗料の足場になります。

手順4 粉を払って脱脂する

乾いた布で粉を払い、そのあとアルコールを含ませた布で全体を拭きます。手の脂も塗料をはじく原因になります。

拭いたあとは完全に乾くまで待ってから塗ってください。ここまでが下地処理です。使う道具は塗装の下地処理の7つ道具とむだのない予算にまとめています。

サビを落としたあとにすること

サビを落としたあとにすることを示すバナー

落として終わりではありません。むしろここからが本番です。

その日のうちに下塗りを塗る

サビを落とした鉄は、守るものが何もない状態です。空気と水に触れれば、その日のうちに表面が変わり始めます。

落とす作業は、塗れる日の朝に始めてください。 前日に落としておいて翌日に塗る、という進め方はおすすめしません。サビ止めの選び方はサビ止め塗料の選び方と初心者が迷う4つの分かれ道で解説しています。

落としきれないサビは深追いしない

くぼみの底や溶接のあとには、削っても届かないサビが残ります。ここは深追いしなくて構いません。

無理に削ると、周りの鉄のほうが薄くなります。届く範囲を落としたら、残ったサビの上から使える製品に頼ってください。売り場には2種類あり、役目が違います。

缶に書いてあることどういう塗料か上塗り
サビ転換剤残った赤サビを黒い膜に変えて、進行を抑える下塗り乾いてから別に塗る
サビの上からそのまま塗れるサビ止めと上塗りが1つになった塗料これだけで仕上がる
どちらも使い方は缶の表示に従ってください。塗り重ねまでの時間が製品で違います

くぼみの底だけ残ったならサビ転換剤、面全体に薄くサビが残っているなら上から塗れる塗料、と考えると選びやすくなります。

削った粉を残したまま塗らない

削った粉が面に残っていると、その上に塗った塗膜は粉ごと浮きます。拭き取りは、削る作業と同じくらい大事です。

地面に落ちた粉も集めてください。赤い粉は雨に濡れると、コンクリートに色が移ります。玄関先で作業するときはシートを敷いておくと安心です。

サビの落とし方のよくある質問

サビの落とし方のよくある質問に答えるバナー

作業の前後によく出てくる疑問をまとめました。

重曹とクエン酸はどんなときに使えるか

塗らないものに使ってください。包丁、はさみ、自転車の部品、金具など、見た目をそのまま残したいものに向いています。

この記事が向かないと書いているのは、あくまでそのあと塗る場合です。方法そのものが悪いわけではありません。

電動工具を使ったほうが早いか

広い面なら早くなりますが、門扉1枚程度なら手作業で足ります。 電動工具は削りすぎる危険もあります。

買うかどうかの判断はサビ落としに電動工具は必要か迷ったときの判断基準で解説しています。

どこまで落とせば十分か

赤い粉が出なくなり、指でなでて段差を感じない状態が目安です。金属の地肌が出るまで削る必要はありません。

ぴかぴかに磨き上げるのは、船や橋のような重い仕事の話です。家庭の門扉や物置では、そこまで求められません。

サビ取り剤を使ってもよいか

市販のサビ取り剤も、酸で溶かす仲間です。落とす力は家庭の重曹より強いものがありますが、洗い流しと乾燥が要る点は同じです。

使うなら、缶にそのあと塗装できると書かれているかを確かめてください。書かれていないものは、塗る前には使わないほうが安全です。

雨の日にサビを落としてもよいか

落とす作業自体はできますが、すすめません。落とした鉄が濡れれば、塗る前にまた錆び始めます。

落として塗るまでを1日で終えるつもりなら、晴れた日を選んでください。多くの塗料メーカーが、気温5℃以下と湿度85%以上のときは塗らないように書いています。塗るのに向いている日の条件は水性ペンキと油性ペンキの違いと初心者の選び方にまとめています。

手についたサビはどう落とすか

石けんで洗えば落ちます。落ちにくいときは、手洗い用のクレンザーか、粒の入ったハンドソープを使ってください。

作業中は軍手か作業用の手袋を着けたほうが早いです。ただし電動工具を使うときは手袋を外してください。巻き込まれます。

落とした粉はどう捨てるか

シートに集めて、そのまま燃えないゴミに出せる自治体が多くあります。金属の粉なので、量が多いときは分別のページを確かめてください。

排水に流さないでください。塗料と同じで、配管の中で沈んで詰まる原因になります。

まとめ

サビの落とし方のポイントを振り返るバナー

サビの落とし方に、ひとつの正解はありません。そのあと塗るかどうかで、選ぶ方法が変わります。

塗らないものなら、傷を付けない重曹やクエン酸が向いています。塗るものなら、削って傷を付けたほうが長持ちします。同じ傷が、一方では欠点になり、一方では必要になります。

この記事のポイント
  • 落とし方は大きく4つ
  • 塗るならワイヤーブラシとサンドペーパー
  • 重曹とクエン酸は塗らないものに使う
  • 削ってできる傷は塗料の足場になる
  • 下地処理は塗膜の寿命の半分を決める
  • 粉が出なくなり段差を感じなければ十分
  • 落とす作業は塗れる日の朝に始める
  • くぼみの底のサビは深追いしない
  • 削った粉は拭き取ってから塗る
納得して笑顔のDIY初心者の女性キャラクター
DIY初心者

削ってよかったんですね。傷を付けないようにと思って、手間をかけていました。

塗装職人の男性キャラクター
塗装職人

塗るなら傷は味方です。そのぶん早く終わりますよ。

落としたあとの流れはサビ止め塗料の選び方と初心者が迷う4つの分かれ道を、実際に門扉を塗る手順は門扉の塗装をDIYする7つの手順と失敗しない塗料選びをあわせてご覧ください。

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