アルミサッシに白い粉がふいている。カーポートの柱がざらついてきた。手でこすると、指に白い粉が付く。
アルミはさびない金属だと思われがちですが、そうではありません。アルミもサビます。 ただし鉄とは出方も進み方も違うので、同じつもりで手を付けると失敗します。
- アルミなのに白い粉が出てきた
- 汚れなのかサビなのか区別がつかない
- 鉄と同じように削ってよいのか分からない
- 塗ってあるアルミが、ぼこぼこと盛り上がってきた
- このまま塗って直るのか、買い替えなのか判断できない

アルミはさびないと聞いていたのに、白い粉が出ています。

アルミもサビます。鉄とは別の出方をするので、落とし方も変わります。
私は工場で機械部品の塗装をして10年になります。扱うのはアルミがほとんどで、屋外で使われて傷んだアルミを塗り替えるのが仕事です。この記事では、白サビが出る理由と落とし方、そして塗って直せるかの見分け方をお伝えします。
アルミもサビる理由

アルミの表面には、空気に触れてできた酸化の膜があります。この膜が内部を守るので、アルミはさびにくい金属です。その膜が変化したものが白サビです。

アルミを守っている膜が、水で変わる
乾いた場所なら、酸化の膜は薄いまま安定しています。ところが水に触れ続けると、膜は水を取り込んで厚く、もろくなります。
つまりアルミを守っているはずの膜そのものが、サビに変わります。 鉄のように、金属が外から侵されるのとは違う仕組みです。
この水を含んだ膜が、白く粉のように見えます。汚れが付いたのではなく、アルミそのものが変化しているので、拭いても取れません。
水が乾かないと、変化が止まらない
一度や二度ぬれただけでは、膜は元に戻ります。問題は、ぬれた状態が続くことです。 日本アルミニウム協会は、アルミの取り扱いについてこう説明しています。
外気温や湿度の変化で材料の表面に結露が発生し、放置しておくと白い花模様の腐食が生じます
一般社団法人 日本アルミニウム協会
雨の量ではなく、乾くひまがあるかどうかで決まります。 北向きの窓、日の当たらない柱、水がたまる下枠。屋外に置いたまま何年か経ったアルミは、たいていこうした場所から出ています。
塩分と異種の金属が、膜を壊す
同協会は、アルミの代表的な腐食は孔食という穴があく形で、塩分によって促進されるとしています。海の近くや、冬に凍結防止剤をまく道路ぎわで進みやすいのはこのためです。
もうひとつ、種類の違う金属が触れているところも進みます。同協会は、アルミと銅などが接して水分があると電気が流れ、アルミのほうが溶け出すと説明しています。ステンレスのビスが留めてあるところの周りだけ白くなっているのは、これが起きています。
鉄の赤サビとアルミの白サビの違い

同じ「サビ」でも、中身は別物です。鉄のつもりで扱うと、削りすぎるか、逆に見落とします。
| 比べる点 | 鉄の赤サビ | アルミの白サビ |
|---|---|---|
| 色 | 赤茶色 | 白い粉 |
| 進み方 | 内部まで進む | 表面にとどまりやすい |
| 出やすい場所 | 傷、溶接部、水がたまる所 | 水がたまる所、結露する所、塩分のかかる所、ビスの周り |
| 放っておくと | 穴があく | 点状の穴(孔食)になることがある |
| 落とす道具 | 鋼線のワイヤーブラシ サンドペーパー | ステンレスか真ちゅうのブラシ ナイロンたわし、サンドペーパー |
赤サビは内部へ、白サビは表面に広がる
鉄の赤サビは、表面から内部へ食い込んでいきます。表に見えている面積より、中で進んでいる範囲のほうが広いこともあります。
白サビは、横に広がりやすく、深さはそれほど進みません。 手でこすると粉が落ち、その下に金属の面が残っていることがほとんどです。
白サビは浅いが、点で深く進む
浅いからといって安心はできません。孔食は、点で深く進む腐食です。 表面は白い粉でも、一点だけ針で刺したように穴があいていることがあります。
粉を落としたあと、黒い点が残っていないか見てください。 それが孔食の跡です。
落とす道具も鉄とは変える
これが鉄との大きな違いです。鋼線のワイヤーブラシをアルミに当てないでください。
削れた鉄の粉がアルミの表面に残り、そこから新しいサビが出ます。アルミより軟らかいので、深い傷も付きます。使うならナイロンたわしか、ステンレス線か真ちゅう線のブラシにしてください。
白サビの落とし方は表面で変わる

削り方は一通りではありません。そのアルミに膜が付いているかどうかで変わります。

| アルミの状態 | 身近な例 | 落とし方 |
|---|---|---|
| アルマイト付き | サッシ、カーポート、物干し | 塗るならナイロンたわしか240番から。塗らないなら削らない |
| 素地(膜を付けていない) | アルミ鋳物、機械の部品 | 120番から150番でしっかり。仕上げに240番 |
サッシやカーポートは、塗るときだけ削る
サッシやカーポートには、アルマイトという膜が付いています。日本アルミニウム協会の資料では、屋外で使う建材の膜は20マイクロメートル以上とされています。それでも0.02ミリです。
薄いので、メーカーは削ることをすすめていません。LIXILはアルミ製品の手入れについてこう案内しています。
お手入れの際には柔らかい布又はスポンジなどを使い、ワイヤーブラシやサンドペーパーのご使用はさけてください
株式会社LIXIL
塗らずにきれいにしたいだけなら、これに従ってください。 膜が減れば、アルミを守る力もそれだけ落ちます。軽い粉なら中性洗剤と柔らかい布で落ちることもありますが、進んだ白サビは残ります。
塗るなら、話は変わります。白サビを落としてから、足付けをします。 白サビは、ナイロンたわしか240番あたりで、粉が出なくなったら止めてください。 アサヒペンも、白サビは240番のサンドペーパーで落とすよう案内しています。足付けの番手はアルミに塗料が食い付かない理由で説明しています。
粗い番手で削ると、膜が削れたところと残ったところがまだらになります。 深く削る必要はありません。
素地のアルミは120番から150番で落とす
アルミ鋳物や機械の部品は、膜を付けていない素地のことがあります。この場合は削って困る膜がないので、120番から150番でしっかり落とします。
私の現場でもこの番手です。最後に240番でならして、塗る面を整えます。ただし工場では回転するサンダーを使っています。手で研ぐときは、同じ番手でも傷が深くなるので気をつけてください。
浮いた塗膜は、下のサビごと落とす

ここからは、すでに塗ってあるアルミの話です。白い粉が見えなくても、サビは出ています。塗膜が浮いていたら、その下で進んでいます。

盛り上がりとぼこぼこは中のサビ
屋外で何年か使われたアルミを塗り替えるとき、私がまず見るのは表面のふくらみです。
塗った面が部分的に盛り上がっている、触るとぼこぼこしている。 これは塗料の問題ではありません。塗膜の下でアルミがサビて、体積が増えて持ち上げています。
白サビは、もとの金属より厚くなります。逃げ場がないので、上の塗膜を押し上げます。
どこまで落とすかは、指で押して決める
浮いている範囲は、目で見ても分かりません。目安は指です。
落とした縁を指で押してみてください。押して沈むところは、まだ下が浮いています。 沈まなくなるまで広げて落とします。
見た目にきれいなところで止めたくなりますが、残した分だけ、同じ場所がまためくれます。
- 盛り上がった上から塗って平らに見せる
- 浮いた塗膜の縁を残したまま塗る
- 粉を拭いただけで塗る
落としたあとの段差はならしておく
浮いた塗膜を落とすと、残った塗膜との間に段差ができます。そのまま塗ると、段差の線が仕上がりに出ます。
240番あたりで縁をなだらかにしてください。指の腹でなでて、引っかからなくなれば十分です。
塗って直せる状態かを見分ける

すべてが塗って直るわけではありません。落としたあとの面を見て決めます。

粉が落ちて金属面が出れば塗れる
粉を落として、下から銀色の金属面が出てくれば、そのまま塗れます。 多少くすんでいても構いません。
これがいちばん多い状態です。白サビは横に広がる性質があるので、見た目ほど深くは進んでいません。
黒い点が残るときは深さを確かめる
粉を落としても黒い点が消えない場合、そこは孔食です。 点で深く進んでいます。
浅ければ塗って構いません。爪を立てて引っかかる程度なら、そのまま進めます。 ただし塗料は穴を埋める材料ではないので、へこみは残ります。
裏まで抜けていたら塗装では直らない
光にかざして向こうが見える、押すとへこむ、指で押して沈む。この状態は塗っても戻りません。
塗装は表面を守るもので、減った金属を戻すものではありません。判断のしかたはDIY塗装をやめるべき5つの状態と対処法にまとめています。
落としたその日のうちに塗る

塗れる状態だと分かったら、間をあけないでください。白サビを落とした面は、そのままにしておくと変わっていきます。
削った面には、また膜ができる
アルミは削った直後から、空気に触れて新しい膜ができ始めます。これは白サビとは違い、アルミを守る側の膜です。
ただし塗料にとっては、せっかく出した金属面がまた覆われたことになります。 日をまたぐと、足付けからやり直すことになります。
落とす作業は、塗る時間を残してから始めてください。半分だけ落として翌日に続ける、という進め方は向きません。
削りカスと手の脂を落としてから塗る
削った粉が残ったまま塗ると、粉ごと塗り込むことになって、塗膜が付きません。 乾いた布で払ってから、アルコールかシリコンオフで拭き取ります。
拭いたあとは、塗る面を素手で触らないでください。指の脂が付いたところだけ、あとで塗料がはじきます。
ここから先の手順はアルミに塗料が食い付かない理由にまとめています。
アルミのサビのよくある質問

作業の前によく出てくる疑問をまとめました。
汚れと白サビはどう見分けますか
乾いた布でこすってください。落ちれば汚れ、落ちずに手ざわりがざらつくなら白サビです。
白サビはアルミそのものが変化したものなので、拭いても取れません。削るしかありません。
洗剤で落とせますか
汚れは落ちますが、白サビは落ちません。そして強い酸性やアルカリ性の洗剤は使わないでください。
日本アルミニウム協会は、アルミの表面にできる膜が酸やアルカリの環境では容易に溶けるとしています。落とすつもりが、アルミを傷めることになります。使うなら中性洗剤です。
白サビを防ぐ方法はありますか
水を残さないことです。結露しやすい場所や、雨が乾きにくい場所を拭いておくだけでも違います。
そのうえで、塗装は有効な手段です。塗膜が水と空気を遮るので、膜が水を含む状態になりません。
ビスの周りだけ白くなるのはなぜですか
種類の違う金属が接しているためです。水分があると電気が流れ、アルミのほうが溶け出します。
ビスを外せるなら外して塗り、戻すのがきれいです。外せない場合は、ビスの周りに出た白サビを、念入りに落としてから塗ってください。 ビスとアルミの境目は、粉が残りやすいところです。
サビ止め塗料を塗ればよいですか
鉄用のサビ止めは、アルミには向きません。鉄のサビを抑える成分が入っているもので、アルミの腐食を想定していないためです。
アルミには、缶の「用途」にアルミが入っている塗料を選びます。入っていなければ、アルミに対応した密着プライマーを下に塗ります。 塗料の選び方はアルミ用塗料の選び方|缶の2か所を読むを、密着プライマーの塗り方はアルミに塗料が食い付かない理由をご覧ください。
粉をふいたまま何年も放置していました
まず落としてみてください。白サビは横に広がる性質があるので、年数のわりに浅いことがよくあります。
落としたあとに金属面が出れば、まだ塗って守れます。穴があいていた場合だけ、買い替えを考えてください。
まとめ

アルミもサビます。ただし鉄のように内部へ食い込むのではなく、表面に広がります。 だから見た目より浅く、落としてみると金属面が出てくることがほとんどです。
怖いのは、塗ってあるアルミです。表に粉が見えなくても、盛り上がりとぼこぼこは、下で進んでいる証拠です。見つけたら塗膜ごと落としてください。
- 白サビは酸化の膜が水を含んだもの。汚れではない
- 水がたまる所、結露が続く場所、塩分、ビスの周りに出る
- 赤サビは内部へ、白サビは表面に広がる
- 鋼線のワイヤーブラシは使わない。ステンレスか真ちゅうにする
- サッシやカーポートは、塗るときだけ削る。塗らないなら削らない
- 素地のアルミは120番から150番で落とす
- 盛り上がりは塗膜の下で進んでいるサビ
- 落として金属面が出れば塗れる。穴があいていたら買い替え
- 落としたその日のうちに塗る。日をまたぐと足付けからやり直し

粉を落としてみたら、下から銀色が出てきました。まだ塗れそうです。

それなら大丈夫です。落としたその日のうちに塗ってくださいね。
落としたあとの下地処理はアルミに塗料が食い付かない理由を、サッシを塗る手順はアルミサッシ塗装の8つの手順を、鉄のサビの落とし方は鉄のサビの落とし方と4つの方法の比べ方をあわせてご覧ください。

